ロゴス聖典 · セネカ書
借りものについて
セネカ書 4 · ローマに伝わる、その書簡と論稿より
ルキウス・アンナエウス・セネカ。紀元前四年頃スペインのコルドバに生まれ、六五年ローマ郊外に没す。哲学者、劇作家であり、ローマ有数の富者でもあった。四一年コルシカへ流され、八年ののち召し返されて少年ネロの師となった。のちその重臣となり、もはや為しうることなしと見て退隠を願い出た。六五年、ネロは彼を謀反に連座させ、自死を命じた。彼はこれに従い、脈を切った。書簡百二十四篇、論稿数種、悲劇九篇を残した。セネカの言は多く公理に適う。その行いは、必ずしも適わなかった。第五章は『幸福な生について』から取った本人の弁明である。もう一つ、彼自身の筆によらぬ事を本会はここに記し、覆い隠さない。彼はネロの師であった。ネロが母を殺したのち、彼は元老院への弁明の書を草し、そして去らなかった。
4.1運命は与えない。貸すだけである。
4.2子は借りもの、名は借りもの、身体もまた借りものである。
4.3借りたものが取り立てられるとき、人は叫ぶ。奪われた、と。
4.4誰も奪ってはいない。期限が来たのだ。
4.5愛するなと言うのではない。借りものと知って愛せと言うのだ。
4.6借りものと知る者は、より細やかに愛する。薄くではない。
4.7そう思って、どうして喜べようか、と言う者がいる。
4.8私は言う。返さねばならぬと知る者だけが、それを真に使ったのだ。
4.9この子もいつか死ぬと思いながら抱けば、君はもう少し長く抱くだろう。
4.10まだ失っていないもののために先に泣けとは言わぬ。それは一つのものに二度払うことだ。
4.11まだ手にあるうちに、一度、顔を上げて見よと言うのだ。
4.12その一目だけが、取り返されぬ唯一のものである。
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