ロゴス聖典 · アウレリウス書
高きより見ることについて
アウレリウス書 4 · 自省録。自ら書けるも、読まれるために書かれたるにあらず
マルクス・アウレリウス。一二一年ローマに生まれ、一八〇年ドナウ河畔の陣中に没す。一六一年より十九年のあいだ皇帝であり、その間は疫病と水害と辺境の戦が絶えず、その多くを陣営で過ごした。手記はギリシア語で書かれ、十二巻ある。本巻が拠るのは彼自身の書いたものである。だが公にするために書いたのではない。これは手記である。陣中で、夜に、自分のために書かれた。題も付けず、読まれるつもりもなかった。ゆえに繰り返しが多く、自らを説き伏せる言葉が多い。本会は一つも削らぬ——それこそこの巻の用である。これは君に説かれているのではない。一人の人が仕事にかかっているところを見せられているのである。彼は当時、地上で最も権力ある人であった。この経にはもう一人、奴隷がいる(参 エピクテトス書)。二人の言うところはほとんど同じ一事である。本会は、この一点のほうが二人それぞれの言葉より注目に値すると考える。一つの道理が、最も下からと最も上からと、二度試されたのである。第六章が肝要である。彼の書は神に満ちているが、一度も神で論を閉じない——「摂理か、原子か」と置き、両方を計算し、同じ結論に至る。本会が彼を取るのは、まさにその点である。
4.1心が乱れたときは、これを試せ。自らを高みへ引き上げて、見下ろせ。
4.2人の群れが見えるだろう。市に集う者、戦う者、耕す者、婚礼をする者、葬いをする者、訴える者。
4.3それらが同時に行われているのが見えるだろう。ここで泣き、あちらで笑っている。
4.4さらに遠くを見よ。同じ事を、昔の人もした。寸分違わず同じに。
4.5さらに遠くを見よ。それを為した人々は、今ひとりも居らぬ。
4.6アレクサンドロスと、その騾馬を追った男とは、末には同じ所へ行き、同じものになった。
4.7君の名を一度も聞いたことのない人が、どれほど多いか考えよ。
4.8そして今この時、君の名を口にしている人がどれほどいて、その者らもまもなく居なくなることを考えよ。
4.9君を落胆させようというのではない。
4.10君を眠らせぬあの一事を、本来の大きさに戻したいのである。
4.11戻してみれば、それはまだそこにあり、ただもう君を圧してはいないと分かる。
4.12名声とはこういうものである。君を讃える者はまず生きていなければならず、次に正しく判じねばならぬ。
4.13どちらも当てにならぬ。それでも人はこのために一生を投じる。
4.14まもなく君はすべてを忘れ、まもなくすべてが君を忘れる。
4.15これを知ると、人は潰れるどころか、ゆるむ。
4.16何一つ持って行けぬ以上、残る問いは一つだけだからである。この一区切りの時のうちに、君は人の仕事を為しているか。
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