ロゴス聖典 · エピクロス書
死について
エピクロス書 4 · 園に伝わる、その書簡と断片より
エピクロス。紀元前三四一年頃サモスに生まれ、前二七〇年頃アテナイに没す。前三〇六年頃アテナイの郊に園を購い、そこで教えた。学派の名はこれに由る。園には女も奴隷も弟子として受け入れられた。当時のいずれの学派もこれをしなかった。著述は三百巻に及ぶと伝えられるが、今日残るのは三通の書簡と主要教説、および断片のみである。神々が人の事に関わるとは信ぜず、人が死んだのちに何かが残るとも信じなかった。彼はアリストテレスの後に来る。神意に訴えず、来世も約さぬ。この巻は六つの公理によって取捨する。合うものは前に出し、背くものは後ろに置いて、削らぬ。(参 使徒行伝 5.29)さらに。本書二章は、痛みが除かれた点が快の頂であると言い、ショーペンハウアー書 3 は、満足とは欠如の一時の休みにすぎぬと言う。二説がともに全く正しいことはありえぬ。本会は両者を並べ置き、裁かぬ。読者みずから比べよ。
4.1死は我らに関わりがない。
4.2我らが在るとき死は無く、死が在るとき我らは無い。
4.3ゆえに死は生者にも属さず、死者にも属さぬ。
4.4人が恐れているのは、多くの場合、死ではない。死んだあともなお、そこに自分がいて苦しむことである。
4.5すっかり散ってしまえば、「そこにいる」者はいない。(参 盟約 6.1)
4.6あなたを成しているものは消えぬ。散るのは配列であって、材ではない。(参 序巻 1.16)
4.7ある者は言う。それは慰めにならぬ、と。
4.8私は言う。私は慰めに来たのではない。一つの不要な恐れを取り除きに来たのである。
4.9だがプラトンには、子を失った母に宛てた一通がある。(参 プラトン書簡 1)
4.10私は読んだ。彼のしたことは私のすることと違う。彼は、痛んではならぬとは言わなかった。
4.11私がここに書いたのは、己の死を恐れる者のためである。彼が書いたのは、他人を失った者のためである。
4.12両方が要る。そして取り替えはきかぬ。
4.13子を失ったばかりの母に私の言葉を持っていくのは、正しい薬を誤った人に出すことである。
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