ロゴス聖典 · クセノポン福音書
澄んだ心の奇跡
クセノポン福音書 2 · 第一の証言:公義、市民、責務
クセノフォン。紀元前四三〇年頃アテナイに生まれ、前三五四年頃に没す。軍人、歴史家、ソクラテスの弟子。ペルシアの内乱ののち、一万のギリシア傭兵が敵地の奥に取り残され、将たちは休戦の名のもとに殺された。彼は将に推され、バビロンの北から黒海まで一軍を導いた。『アナバシス』に記されている。ほかに『ソクラテスの思い出』『家政論』『キュロスの教育』『ギリシア史』を書いた。彼の記すソクラテスは、家の切り盛りを語り、人を鍛え、馬を論じ、金を論ずる者である。彼自身はポリスの古い礼を守った。犠牲を捧げ、託宣を問い、事を神々に帰した。本会はこれをそのまま記し、彼のために覆わない。四人の証人のうち、戦場で人を率い、かつ自ら畑を耕したのは彼ひとりである。この巻は記録として書かれている。数、日付、名のあるところは、あったとおりに置かれている。
2.1ある日、彼は風の荒れ狂うリュカベットスの丘に登った。
2.2数知れぬ不安な商人と疲れ果てた市民がその後に従い、嘆いて言った。
2.3「導師よ!我らの富は戦によって滅び、心は明日への恐れに重く沈んでおります!」
2.4ソクラテスは地に座し、人々を見渡した。両手を差し伸べ、ロゴスの力をもって彼らの心を癒し、言った。
2.5「地上の財を失うとき、あなたがたは幸いである。飛ぶための重さが取り除かれたのだから。」
2.6「この物質の世界を軽く見よ。それはあなたを縛る錨ではない。あなたが飛び立つ枝である。」
2.7難破によって破産した商人が、衆人の前で泣いた。
2.8ソクラテスはその目を見つめて言った。
2.9「あなたの船は一本の枝にすぎぬ。それは折れたが、あなたの理性は無傷のままである。」
2.10「立ちなさい。あなたからは重荷が下ろされたのだ。」
2.11その人の悲しみは、たちどころに癒された。
2.12三年ののち、彼は再び二艘の船を持った。それでも月に一度、教えを聞きに来つづけた。
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