ロゴス聖典 · エピクテトス書
事にはみな二つの取っ手があることについて
エピクテトス書 3 · 日々の稽古。アッリアノスが講堂で記した
エピクテトス。五五年頃フリュギアのヒエラポリスに生まれ、一三五年頃ギリシアのニコポリスに没す。奴隷として生まれ、ネロの家の解放奴隷に属した。奴隷のうちに講義を聴くことを許され、のちに解放された。片脚が不自由であった。九三年頃、哲学者はローマから追われ、彼はギリシアへ渡ってニコポリスに塾を開き、生涯そこにとどまった。垣はすでに盟約第五に立てられており、この巻は立て直さない。この巻が言うのは、垣がどこに引かれているかである。事の上にではなく、事に対する君の判断の上に引かれている。彼自身は一字も書かなかった。ここにあるのは弟子アッリアノスが講堂で記したものである。(参 使徒行伝 5.48)
3.1事にはみな二つの取っ手がある。一方では持ち上がり、他方では持ち上がらぬ。
3.2君の兄弟が君に対して不当なことをした。
3.3一つの取っ手はこうである。あれは私に不当をなした。
3.4そこを掴めば持ち上がらぬ。一度持ち上げれば一度腹が立ち、十年持ち上げれば十年腹が立つ。
3.5もう一つの取っ手はこうである。彼は私の兄弟だ、共に育った。
3.6そこを掴めば持ち上がる。
3.7ある者が言う。それは自分を欺いている。彼は現に不当をなしたではないか、と。
3.8私は為さなかったとは言っていない。二つの取っ手は同じ一事に付いており、二つとも真である。
3.9私が言うのはこれだけだ。真であるものは一つではなく、君はそのうち一つを必ず握ることになる。
3.10どれを握るかは君の権内にある。君の思うにまかせる、ごくわずかな事柄の一つである。
3.11偽の取っ手を握れと言うのではない。偽の取っ手は折れる。折れれば君はいっそう強く落ちる。
3.12いずれも真である幾つかの取っ手のうち、持ち上がるものを選べ、と言うのである。
3.13多くの人は、他の取っ手が無いのではない。他に取っ手があるとは思いもしなかったのである。
3.14今日から、事に遭えばまず数えよ。この一事に取っ手は幾つあるか。(参 至高の盟約 2.5)
3.15数え終わったその瞬間、君はすでに前より少し自由である。
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