ロゴス聖典 · アルキメデス書

石に刻ませたいものについて

アルキメデス書 4 · 自著。『方法』『砂を数える者』『浮体について』『球と円柱について』より

アルキメデス。紀元前二八七年頃シチリアのシュラクサイに生まれ、前二一二年、同じ町で没した。ローマ人が町を落としたその日に、兵の刃にかかったのである。数学者、工学者。本巻が拠るのは彼自身の著したものである。『方法』『砂を数える者』『浮体について』『球と円柱について』、いずれも実在の人へ宛てた書簡の体をとる。『方法』は中世に文字を削り取られ、同じ羊皮の上に祈祷書が書かれた。一九〇六年、コンスタンティノープルでその下の古い字が見出され、そこでようやく戻ってきた。本書第一章はこれに拠る。あの一度の見出しがなければ、彼が証したものをどのように見つけたかは、後世に知られなかった。なお、地が日をめぐるというアリスタルコスの説は、その書が早く失われた。今日なおそのような説のあったことが知られているのは、本書第二章がそれを書き写しているからである。しかも写した当人はそれに同意しておらず、ただ最も大きな数を取るために写したのであった。彼の死については、古人の記す幾つかの説が互いに合わず、本経はこれを取らない。この巻がもたらすのは、本経にこれまで無かった一事である。古の人でありながら、証明だけでなく、その前の手さぐりの一段までも書き留め、どこまでが秤で量ったところで、どこからが証したところかを明らかにしたこと。

4.1この生涯に、人の覚えている事をいくつか為した。
4.2籠城のとき、私は幾つかの機械を作った。人は今なおその機械の話をする。
4.3私はそれを望まぬ。
4.4覚えていてほしいのは、何の役にも立たぬ一事である。
4.5一つの球が、それをちょうど容れる円柱の中に置かれている。
4.6その球は円柱の三分の二である。体積においてそうであり、表面においてもそうである。
4.7これを証すのに長くかかった。これは人を養わず、城を守らず、命を一つも救わぬ。
4.8しかしこれは真であり、私が証すまで、それが真であることを誰も知らなかった。
4.9私は言い遺した。死んだのち、碑に球と、それを容れる円柱と、傍らにその比を刻め、と。
4.10通りかかった者がその石を見て、解らず、そして尋ねに行く。それを望む。
4.11機械は壊れる。町は落ちる。その比は変わらぬ。
4.12機械が大事でないとは言わぬ。飢えているとき、機械は大事である。
4.13言いたいのはこうである。生涯を大事なことだけに費やす人は、球と円柱の比を証しには行かぬ。
4.14役に立たぬ事は、のちに役に立つようになることが少なくない。この一つについては請け合わぬ。私はただ、それを証しただけである。
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