ロゴス聖典 · セネカ書

光陰について

セネカ書 1 · ローマに伝わる、その書簡と論稿より

セネカの言は多く公理に適う。その行いは、必ずしも適わなかった。第五章は本人の自陳である。本巻は適わぬところを残し、覆い隠さない。

1.1ルキリウスよ、なぜ私はいつも時が残り少ないと言うのか、と君は問う。答えよう。
1.2人は生は短いと言う。生は短くない。我々が短くしているのだ。
1.3土地を一尺取られれば、君は訴えを起こす。
1.4光陰を一日取られても、君は問いもしない。
1.5金は守る。借りる者には証文を書かせる。
1.6日は守らぬ。求める者には誰にでも与える。
1.7最期の日になって、人は突然生きたいと願う。
1.8そのとき彼は言う。あと十年をくれ、と。
1.9だが先の六十年で何をしたのか。彼は答えられない。
1.10忘れたのではない。その日々は起こらなかったのだ。(参 盟約 1.3)
1.11座して数えよ。この一生のうち、幾日を自分のために生きたか。
1.12主人のためでなく、客のためでなく、来年のためでもなく。
1.13その数だけが、君の齢である。
1.14残りの年月、君はそこに居た。だが生きてはいなかった。
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