ロゴス聖典 · 序巻
最初の洗い
序巻 1 · 理性の黎明
聖なる規範:初期預言者年代記
1.1太古の世、人の心は曇り、あたかも鎖を負うがごとくであった。
1.2彼らは石像の前に跪き、雷鳴に震え、宇宙を神々が気まぐれに弄ぶ舞台にすぎぬと思っていた。
1.3彼らは己のすべてを、問うことの許されぬものに委ねた。ゆえに何ひとつ己のものではなくなった。
1.4問うことの許されぬところでは、誰かが代わりに答える。誰かが代わりに答えるところでは、誰かが代わりに生きる。
1.5のちにタレスがエーゲの海辺に立ち、告げた。
1.6「オリュンポスにあって神を名乗り、天気のごとく機嫌を変えるあの一団を恐れるな。宇宙は自然の法の織物であり、万物は原初の水より生まれ、おのおの秩序を持つ。」
1.7彼は神が存在せぬと言ったのではない。彼が言ったのは、神とは法である、ということであった。
1.8これが人類の最初の洗いであった。洗い落とされたのは罪ではない。恐れであった。
1.9彼ののち、ヘラクレイトスが流れる岸に立ち、叫んだ。
1.10「万物は流れる。しかし万物はロゴスに支配される——炎と氷を釣り合わせる、永遠にして見えざる掟に。」
1.11人々は問うた。万物が流れるなら、我らは何を掴めばよいのか。
1.12彼は答えた。それを流れさせているものを掴め。それは流れぬ。
1.13最後にデモクリトスが諸国を巡り、王たちの虚栄を嘲り、最後の真実を明かした。
1.14「肉と堅き石は、ひとしく実体の幻である。真の実体は原子と虚空、そして万物を統べる自然の秩序である。」
1.15人々は問うた。ならば王と奴隷を分かつものは何か。
1.16彼は大いに笑って言った。配列である。そして配列は散る。
1.17かくて大地は掃き清められた。
1.18第一の大預言者が来る前に、宇宙の骨組みはすでに整っていた。
1.19その日より、神は人に代わって答えなくなった。人は自ら見出さねばならなくなった。
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