ロゴス聖典 · モンテーニュ書

経験について

モンテーニュ書 5 · 塔にて記す、その『エセー』より

この人は自ら書いた。他人の記録を要さない。彼はこの経の他の者と異なる。他の者は自分の信ずるところを記し、彼は自分がどうであるかを記す。前後が食い違うところを彼は消さなかった。この経も消さない。

5.1私は老いた。石を病み、痛む。
5.2痛むとき私は叫ばない。叫んでもよいが、叫んでも楽にならぬと知った。
5.3一つ学んだ。自分の体と談判し、戦わぬことである。
5.4食べたいものを食べ、目が覚めるまで眠り、急がずに歩く。
5.5怠惰だと言う者がいる。私は、勝てぬ相手と争わぬのだと言う。
5.6生涯に多くの書を読んだ。最後に学んだものの大半は書から来ていない。
5.7自分自身から来た。落ち、病み、恐れ、そして喜んだ。
5.8それらを一つずつ見た。書物を見るよりも細かに。
5.9世に最も大きな事は、自分が自分のものであるすべを知ることである。
5.10各人は奥の小部屋を持つべきである。まったく自由な部屋を。真の自由をそこに置け。
5.11誰もが飛び出して、何か目覚ましい事をしたがる。
5.12私はそうは思わぬ。
5.13最も美しい一生は、常の人の型に合った一生である。秩序があり、奇跡がない。
5.14一日をよく過ごせるなら——食べ、働き、人と交わり、眠るなら——最も難しい事を成し遂げたのだ。
5.15あとはみな添え物である。
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