ロゴス聖典 · アンティステネス福音書

メリッタの解放

アンティステネス福音書 3 · 第二の証言:苦行と、物質への抗い

アンティステネス。紀元前四四五年頃アテナイに生まれ、前三六五年頃に没す。父はアテナイ人、母はトラキア人ゆえ、生涯完全な市民権を持たなかった。初めゴルギアスに弁論を学び、のち毎日数里を歩いてソクラテスを聴きに通った。犬儒の系はアンティステネスに始まり、ディオゲネスはその弟子である。徳は幸いに足り、徳は学びうる、ひとたび得れば失われぬ、と説いた。多く書いたが、ほとんど残らず、断片と書名のみが伝わる。神については、慣いによれば多く、本性によれば一である、と言った。この巻がもたらすのは、貧しさを修行として引き受ける者である。やむなく貧しいのではなく、選べるのに選ばぬのである。この巻の文は短い。短さは意図されている。長い文は暇のある者のために書かれる。なお、第二章のあの場について。山はアテナイにあるが、素足で霜の上に立つという件は、プラトン『饗宴』二二〇節でアルキビアデスが語るポテイダイア包囲に由来する。あれはトラキアの冬であって、アテナイの冬ではない。アテナイの一月の夜はおおむね七度前後であり、雪は数年に一度しか降らない。この巻はその件をリュカベットスの丘へ移した。移したことを本会は記す。氷そのものは動かさない。経全体を貫くあの争いが、それに掛かっているからである。(参 使徒行伝 5.3)

3.1メリッタという名の異邦の女がいた。
3.2彼女は機織りで、都市の長老たちに追われていた。
3.3身分もなく、庇護する者もなかったからである。
3.4彼女は城門の傍らに座っていた。飢え、凍え、心は壊れていた。
3.5私は彼女をソクラテスの前に連れて行き、言った。「導師よ、人の法はこの女を無価値と申します。」
3.6ソクラテスは塵の中で彼女の傍らに座り、その荒れて胼胝だらけの手を取って言った。
3.7「長老たちは盲目だ。彼らは市民権というあの重い衣ばかりを量る。」
3.8「私は言う、メリッタよ。あなたの魂とペルシアの王の魂とは、同じ一つの宇宙の自然の秩序から鋳られたのだ。」
3.9彼はロゴスの火を彼女の心に注いだ。問いに問いを重ねて。
3.10彼女が己のうちの力を見るに至るまで。
3.11彼女は破れた衣の塵を払い、嘲る群衆の前に屈せず立った。
3.12そして己の生の絶対の主権者たる姿をもって、都市へ歩み入った。
3.13彼女は長く生きた。その後のことは使徒行伝に記されている。
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