ロゴス聖典 · アリスティッポス福音書

テオドテを癒す

アリスティッポス福音書 3 · 第三の証言:主権の波と、今この時に生きること

アリスティッポス。紀元前四三五年頃、北アフリカのキュレネに生まれ、前三五六年頃に没す。ソクラテスの弟子、キュレネ派の祖。目の前の快を善としたが、その要は放縦ではなく制御にあった。名高い遊女と交わると謗られて、彼は答えた。わたしが彼女を持つのであって、彼女がわたしを持つのではない。四人の証人のうち、教授の謝礼を取ったのは彼だけで、他の者はそれを恥とした。シュラクサイの僭主の宮に住み、なぜ耐えられるのかと問われて、黙るべきときを知っているからだ、と言った。その書は一つも残らず、今日知られることはすべて後人の手を経ている。ゆえに彼について本経が記すところは、他の巻より疑って読まれねばならぬ。この巻がもたらすのは、楽しく生きた人である。彼がいなければ、この経には渋面しか残らない。この巻は寛いで書かれている。読んで一度も笑わなかった者は、この巻を読んでいない。

3.1テオドテという名の女がいた。アテナイで最も名高い遊女であった。
3.2画家たちは彼女を描くために列をなした。その門前には日ごとに十挺を下らぬ輿が停まった。
3.3彼女は絶望に沈んでいた。男たちが肉体の美ばかりを愛し、その鋭い知性に目もくれなかったからである。
3.4彼女はソクラテスの足元で泣いて言った。
3.5「私は自分の美しい肉の囚人です。」
3.6ソクラテスは彼女を助け起こし、微笑んで言った。
3.7「あなたの美は精巧に作られた楽器だ、テオドテよ。」
3.8「それを享受せよ。それを用いて自由を勝ち取れ。」
3.9「だが、時が必ず削り取る岸辺に、あなたの名を繋いではならぬ。」
3.10彼女は問い返した。「では私が老いたときは。」
3.11導師は言った。「老いたとき、あなたに残るのはあなた自身だけだ。ならば今のうちに、その人と知り合っておくがよい。」
3.12彼は彼女と、比類なく見事な弁証の舞を繰り広げた。
3.13そして、彼女の頭がいかなる宮廷の哲人よりも鋭いことを証してみせた。
3.14別れぎわ、彼女は問うた。「導師よ、また来てくださいますか。」
3.15導師は言った。「暇があればな。もっとも、あなたはじきに私を必要としなくなると思うが。」
3.16彼女の絶望は煙のように消えた。
3.17彼女は、贅を享受しつつそれに所有されぬことを悟った。その時より精神は完全に解き放たれた。
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